9月29日のGLOCOM、『デジタルコンテンツ白書2009』読書会について。

昨日、GLOCOMで行われた『デジタルコンテンツ白書2009』読書会に行ってきました。

濱野智史氏を生で見る事が出来、また、遅れていらっしゃった専修大学の福冨忠和氏も生で見れ、非常に嬉しかったというのがまずは感想です。

『智場』シリーズではいつも名前を見る井上明人氏も司会役ということでお顔を見ることができ、非常にテンションが上がりました。

砂田薫さんなども会場にいらっしゃったのかなぁと、いろいろと考えを巡らせつつ。



濱野さんに名刺を渡し、ひとことだけ挨拶させて頂くことはでき、嬉しかったです。
濱野さんがブログを見てくださるかもしれないという、微かな希望もありつつ。
見られたらむしろ、こいつアホと思われるだけの可能性もありつつ。。。@汗




と、なんにせよ、昨日の話のなかでいろいろと考えたことをまた備忘録的に。



まず、雑談的な要素として、電子ブックのデバイスがあれば欲しいよねみたいな雑談が福富さんからありましたが、
欲しいですよねー@笑
ASUSから年内にこれまたウルトラローコストな電子書籍端末が出るようなので、僕としても非常に楽しみにしていて、出たら買いそうだなと思っています@笑 http://wiredvision.jp/news/200909/2009090920.html




デジタルハリウッド大学のの学長補佐の高橋光輝氏の話には色々と考えさせられたのも大きかった。地味に実際僕は教育学専攻所属なので、いろいろと考えざるを得なかった。全然教育のこと研究してないけど、イノベーションや知識基盤社会化の向こうの教育を構想するのであれば、まず近未来の社会構造をある程度可視化しないと身動きすら取れない、というのが僕の考え方で。
だから僕は教育学専攻なのに、まったく自分独自のことばかり追っかけているわけですけども。

僕がやっぱり思ったことは、企業が求める人材へのタイムスパンと、実際の教育や政策が見据える人材育成へのタイムスパンが、ミスマッチを起こしてしまっているということでした。
誰かの質問の時にそう思っていたんですが、やっぱ不況期の企業の志向性と、不況期だからの国際戦略や本当の意味での人材育成を考えようとする官学的な視点が、うまく同期するのは難しいんだろうなと。


企業や国や高等教育機関などがうまく協調する路線で、どういった形であれ人材育成への有意なファンドを創出して、うまくゆるやかに連携を取って行ければよいんだろうけど、まず視点そのものを同期するだけで不可能性に包囲されちゃうんだなと思い。

どこが悪いではなくて、たぶん一番アホなのは旧態然としている「学」な気がする。正直、学に可能性を感じなくなってきた自分としては、「学」の人間の無駄なプライドとか伝統指向みたいなものが一番無意味な障壁なんやろうなとか思ったり。


具体的なことをよくわからない自分には、表層的なことしか考えることしかできないのが情けないですね。






で、やっぱここから面白いとこで、濱野さんのお話のところに行きます。

濱野さんのお話はニコニコ動画という日本特有の動画コンテンツサイトのお話で、そこで起こる初音ミクなどに代表されるコンテンツのN次創作の連鎖とそれに関する擬似同期的盛り上がりについての説明、
そしてその中でN次創作が、今後ビジネスへと繋がる可能性があるかどうかへの予想、というような話でした。

そういった話の中で、N次創作のネタ共有地・プラットフォームである「ニコニ・コモンズ」の話があり、
そこで出てきた「コモンズツリー」を見ながら、まさにあれはN次創作のコンテンツ進化の系統樹だな、ということを考えていました。

「コモンズツリー」は、元となるコンテンツからユーザーの自主性によって「あなたのコンテンツを元に新しいものを作りましたよ」と申告し、元となったコンテンツからどのように新しいコンテンツが派生していったかをビジュアルに捕捉できるサービスらしいです。

ゆえに、それは元のコンテンツから、様々にコンテンツが増殖していく様子が系統樹のように見えるようになっています。


もし、「コモンズツリー」的な系統発生への自己申告を実験的に義務化し、コンテンツ進化の系統樹を完全に捕捉し続けることができるように操作できれば、
日本のニコニコ動画において特有なように見えるコンテンツの中で、どういったものが流行し、どういったものが淘汰されて消え、どういった人間が作り出したコンテンツが適応価が高いのか、ということを、
まさに進化論的に観察することが理論的には可能だろうな、などと夢想していました。



現実的には技術的制約などがあって難しいんでしょうが、進化論的に日本の、特にニコニコや2ちゃんねる特有のウェブ文化を確実な数値化を持って観察はできるだろうな、という気がしていました。


けれど、それが国際比較に使える指標とかになるかどうかもよくわからないので、そういった調査をしたところで無意味かもしれない気もしました。

しかし、オープンソーシャル的な環境でコンテンツが作成され続ける環境で、どういった人が適応価の高いコンテンツ開発を担う人材となりやすいのか、という意味でのひとつの指標としては有効なのかもしれないなとは思いました。





で、さらにここで先程の教育という話にも接続できるな、という風にも思いました。

もし仮に、ここで適応価の高いコンテンツを作る人物の特性として一般化可能な条件等を見出すことができるのであれば、

最近流行の数量的エビデンスを携えて、新しいコンテンツ技術を持った人材育成への条件整備などを話し合うことはできるのではないかなという風に思いました。




それだけではなく、実際問題ウェブ上のオープンな環境での個々人の主体性によるコミットメントでいくらでも技術向上をできるプラットフォームは整備されつつあるのだから、

そういったものをうまく教育機関が取り込むにはどうすればよいのかということで、カリキュラム等をもっとうまく作り変えることはできんじゃないのかと、思いました。


なんにせよ、僕の身の回りで教職を取って教員になっていく人間の中にそういった明確なビジョンや役割意識をもっているような人間はいないですし(みんな良い奴なんですけど@笑)、

教職を取るためのカリキュラムなど、もっとあたりまえに変えていかなければならないことがあり過ぎるなと、強く思いました。





なんにせよ、ニコニコ的コンテンツから日本のストーリー性の強いコンテンツがいくつも生み出されうるならば、
それを海外コンテンツの技術などとうまくすり合わせることで、
第二の『攻殻機動隊』のようなヒットを作ることは不可能ではないように思ったり。







あと、初音ミク現象はいつまで続きうるんでしょうか。
恐らくアイドル現象と同じく入れ替わりがうまれてくるでしょうし、
そういった新しい世代の初音ミク的アイドルを誰かが作り出すんだと思うのですが、
そこでの変化のサイクルやスパンも今後短くなっていくことが予想されると思います。
さらに言えば、いくつかのライバル的なアイドルの乱立なども起こるだろうなと。
あ、もう起こってるんかしら。



けど、ニコニコ動画だけでなく、ミクシーアプリに自作アプリを提供する個人など、
そういった人を中心に、今後日本でもMMORPGや、仮想世界への積極的参入を果たす人口は増えていくんだろうなと思いました。






あとは、やっぱり、若い人を中心に考えたときにモバイル市場が重要になってくる。
GoogleAndroidが日本でどれだけの勢いでシェアを取ることができるかは今はまだわからないですが、
間違いなく世界スタンダードのひとつとなっていくでしょうし、
日本のある種特異なモバイル市場がいつまで持ちこたえられるのかは非常に疑問が多い。

個人的にはドコモから出てるアンドロイド携帯を買いたかったのですが、逆にそれはiモードに対応していなかったりして不便だなぁと思ったり。
結局僕もiモード使えた方が現状では完全に便利なわけで。

あとは、電子書籍とか難しいですよね。
既存の携帯の通信のまま電子書籍対応しても、今後既存の携帯通信の市場規模自体は減っていくんじゃないかと思ったりするし。





あ、あと、ニコニコ的ビジネスへの成長可能性は、RMT的な方向へ進んでいく、日本ではやっぱりポイント制だというのはそう思いました。
難しいですけど、経済指標そのものが根本的に変化していかなくてはならないとは思います。
例えば株式会社サルガッソーの鈴木健さんが提示しているPICSY*1なんかはひとつのシミュレーションとしておもしろそうだなと思っていますし(よく理解できてないんですけど、ページは読みました)、
あとは、フランスのサルコジスティグリッツに依頼して作成させた新しい経済指標がどういったものなのかなども、注目に値する気がする。





一気にまとまりがないぐちゃぐちゃの日記になってしまった。。。

だめだ。。明日から後期の大学が始まります。

*1:価値が伝播する貨幣の研究と題されています。 http://sargasso.jp/asobi.html